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5. 極低レベル C-14 標識薬物投与実験

5.2 Low BG LSC による基礎実験

 実験結果は1.1 チャレンジングデータに紹介した.
 Conventional LSC と low BG LSC(ALOKA 社製,LSC-LB 5)の検出限界を比較するために,Ultima gold-LLT 18 ml に尿 2 ml(成人1日尿量の 1/500-1/1000 に相当する量)及び 0-1 Bq C-14を添加することにより調製した試料 (いずれも,n=4) を作成して実験を行った.次表は実験結果である.計数時間の延伸及び低 BG 化は検出限界を一桁向上させている.ここで使用した conventional LSC の BG 16.3 cpm は少し低い値である.この実験では装置を綿密に調整し,BG 値と計数効率が最適になるように測定条件を設定して使用した.実際稼働している conventional LSC の BG は 20-30 cpm 前後で,検出限界はこれより劣った状態で使われている.計数時間100 分は,実験動物を対象とした RI 実験では非実用的と思われるかもしれないが,ヒトの服用実験では動物実験に比べて測定試料数が遥かに少ない(血中濃度,尿糞への排泄などすべてを含めても一人当たりせいぜい 20 試料と考えられる)ので,この計数時間はあまり問題にならない.また,low BG LSC で得られた BG 値(4.17 cpm)は,蒸留水を試料とした場合よりも少し高い.これは尿中に存在する modern carbon の貢献によるものと考えられる.実際に尿量を増やして測定すると C-14 のβ線スペクトルが観測される.このことは,BG 試料には薬物服用前の同量の生体試料を添加しなければならないことを意味している.

Counting time and BG cpm
1 min
10 min
100 min
Conv. LSC
16.30±4.27(0.311Bq)
16.63±0.93(0.068Bq)
16.87±0.69(0.050Bq)
Low BG LSC
5.25±0.957(0.069Bq)
3.93±0.591(0.042Bq)
4.17±0.139(0.010Bq)

Counting efficiencies, Conv. LSC:0.687, low BG LSC:0.695.
Vaslues indicated in parentheses indicate the detection limits(radioactivity giving 3 SD of BG cpm).

 Low BG LSC による測定値の直線性を検討した結果を次表に示す.1 Bq 以下に対しても極めて優れた直線性を示している.

Linearity of low BG LSC
C-14 (added, Bq,x)
0.00
0.0294
0.0984
0.294
0.980
Counting rate(cpm,y)
4.17
5.18
8.16
17.01
48.04
±SD
±0.139
±0.204
±0.127
±0.433
±0.804

  y = 44.94 x + 3.93   r=0.9997

 2 ml のヒト尿を直接測定した場合の low BG LSC の検出限界(100 min 計測,BG 計数の 3 SD)は 0.6 dpm,マイクロプレート RLG のradio-HPLCの検出限界は 22 dpm/peak で,両者とも更に向上できる余地がある.ここに提案する方法によれば,1μCi の C-14 標識薬物の服用で所期の目的を達成できる.
 この方法が確立すれば,どの製薬企業も自前でこの課題の解決に取り組むことができ,わが国の製薬業界にとって大きな朗報であると考える.

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