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6.定量全身オートラジオグラフィー 

6.4 実用的定量WBAの提案


 UllbergがWBAに関する第1報を公表したのは1954年,わが国にWBAが導入されたのは1960年代半ばである.以後,WBAは各研究室独自の手法で行われているが,Fs.abが補正されていないので,WBAでは定量的取扱いができないという致命的欠陥があった.
 最も理想的な定量WBAは,Pm-147平面線源を使ってWBA切片ごとにラジオグラフィーを行い,Fs.abを補正する方法であるが,わが国の全WBA切片にこの方法を適用しようというのは理想論に走り過ぎで実現困難と思われる.筆者は,次善の策として実用的定量WBAを提案する.
 実用的定量WBAの骨子
 我が国にPm-147平面線源照射施設を作る.
 各製薬企業(クライエント)はC-14非投与実験動物から各独自の手法に従って作成した切片(コールドWBA切片)をPm-147平面線源照射施設に送る. brand-new IPを,厚み校正片と共にコールドWBA切片を介してPm-147平面線源に露光する.IPで得られた厚み画像(Fig.3)から各臓器のmg/cm2/mm値の表を作成し,クライエントに報告する.または,露光されたIPをクライエントに返送し,クライエント側で解析してこの表を作成する.
 WBA切片(ホット)を作成した厚み(m)と各臓器のmg/cm2/mm値の表から求めた各臓器のFs.abで補正してBq値を算出する.
 解説
 10 mg/cm2前後の厚みを測れ,平面線源を作成できるのはPm-147だけである.Fig. 1に示したように,C-14はエネルギーが低すぎるのみならず,線源が破損した場合の処理に難問題を残すことになる.Pm-147は核分裂で最も大量に生成する核の1つである.以前には夜光塗料として用いられたこともあるが,今では大きな需要のないRIでアイソトープ協会から入手できる.万一破損してもdecay outを待つことができる.
 WBAが開発されて以来50年間,本法による定量を阻んできたのは,WBA切片各臓器の厚みを測定し,Fs.abを評価する方法がなかったことによる.各臓器の厚みは,Table 1において根本と興和のデータが示すように,同じ臓器でも使用したマイクロトームや切片作成条件によって微妙に異なると考えられる.したがって,各研究室独自の手法に従って作成されたコールドWBA切片について各臓器のmg/cm2/mm値の表を作成することがキーポイントになる.


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