RLGlogo2

12. 低バック液体シンチレーションカウンタのマイクロドージングへの応用

おわりに

 この度,縁あって半世紀も前に出会った液シンと正面から向き合うことになりました.計数だけを表示していた液シンがいつの間にか各種の分光光度計並みのエネルギー分解能を合わせ持つ機械になっていました.現役中,その場にいながらこれに気付かなかった不勉強を恥じるばかりです.ここに反省を込めて小生のホームページに本章を追加することにしました.
 定量限界と考えられていた1dpm14C/mL urineでも, 5mLを試料とし,100分間計数すれば,立派なβ線波高スペクトルがとれることは驚きでした.今後,BG試料を含め,代表的な試料ではβ線波高スペクトルも提示することによってより説得力のあるデータを提供できると考えております.また,10000 cpmは立派な放射性物質で,手袋をはめて扱っていましたが,これに近い量の放射性カリウムが尿として毎日垂れ流しになっている事実は意外でした.
 薬はヒトに適用するものです.実験動物を使って,その薬物の体内動態についていかに精確で詳細な情報を得ようとも,それは所詮動物レベルの話で参考データに過ぎません.城攻めでいうと,幾つかの出城や砦を落としても天守閣を落とさない限り国盗りを成就したことにならないように,ヒトでの安全性と有効性を論ずるにはヒトのデータが必須であると信じております.ヒトのデータをもって初めて,薬学者は自信をもって薬の安全性と有効性に関する議論に参加できると確信しております.
 本章は,7月14日薬物動態懇話会で行った講演に加筆したものです.マイクロドージングが実用化されることを心から期待しております.

2010年8月佳日

 


   
章の目次へ 次へ

Home

略字表